初がつお
「目には青葉 山ほととぎす 初がつお」という句は、重ね重ね耳にしても新鮮で、清々しい。自然のエナジーを宿しているからか!
土佐のカツオ漁業は寛永一八(一六四一)年に、室戸岬津呂浦の郷士山田長三郎が、藩の許可を受け二隻の鰹船をつくり、立岩崎の磯のくぼ地に船曳場(坂本港)を設け、カツオ漁を行ったのが土佐の創始と伝わる。また、幡多郡以布利まで出漁をして、地域一円にその漁法を伝え指導を怠らなかった。この事績は地元民の誇りである。
長三郎は、ほかに酒呑童子を負かすという酒豪伝説の持ち主である。今につながる末裔はその血脈にたがわず豪快である。
カツオ漁は江戸時代から明治にかけて多様な漁法が行われたが、網漁の衰退とともに一本釣り漁のみ生き残り、カツオ漁といえば一本釣りを意味するようになった。
今、漁業の不振にあえぐなか、県内二○○五年度の経済統計で産業別生産額が一位となった市町村をみると、水産業は今なお室戸市である。
「今一度、水産を選択すべき候」であろう。
儿
高知新聞「閑人調」掲載
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