2012年3月25日日曜日

シイの実

         シイの実
 植物研究家、小林史郎氏が本紙「所感雑感」に寄せた「初夏の野山が呼んでいる」を読ませて頂いた。種子植物の果実は一年で成熟すると考えていた者にとっては、シイの実の謎にビックリ仰天した。      
 この季節の本県の低い山を「もこもことしたブロッコリーのような形の大木が薄い黄色に色づいているのが遠目によく見えます」と描写する小林氏。これがシイの木の花で、たくさんの花の穂がそう見せている。文面を再現させていただくと、「枝をよくよく探すと小さなシイの実ができ始めている。これは去年咲いた花が結んだ実で、今年の秋に熟す。今年咲いた花が実るのは来年になる」、とのことだ。
 実に十九ヵ月、象の妊娠期間二十二ヶ月に迫る長い時間を要している。にわかに信じ難く、シイの木林に足を運んだ。事実であった。種の神秘を少し教えていただいたことがうれしい。
 小林氏は、「複雑で微妙で多様な営みがあるということにわくわくしながら、初夏の野山に出向いています」と結んでいる。今まさにわくわくする季節であり、秋の彩りとは趣を異にした快さがある。氏にならって出かけよう。
                                                      (儿)
              高知新聞「閑人調」掲載


1 件のコメント:

  1. シイの実が2年がかりで実になることを初めて知りました。私の住まいの近くに神社があり、大木のシイの木があります。幼少の時、その下で熟したシイの実を拾い、食べたのがなつかしく思います。私は木登りが苦手で、従弟に上らせて下でシイの実の付いた小枝を落としてもらい、実を煎って食べました。香ばしい味が忘れられません。この食習慣は数万年前の縄文時代の先祖の食事だったのだと思うと、「海の幸」と共に日本の食文化の原点があるように思います。今はシイの実の味を知る子供がどれだけいるのでしょうか。

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